「アフタースクール」

2008年度作品。日本映画。
母校の中学校で働く神野のもとに、かつての同級生だと名乗る探偵が訪ねてくる。探偵は神野の親友で同じく同級生、現在は一流企業に勤める木村は探していた。心ならずも神野は木村探しを手伝うことに。ちぐはぐコンビの捜索活動は、息は合わないが、次々と木村の行方につながる手がかりをつかんでいく。
監督は「運命じゃない人」の内田けんじ。
出演は「ゲゲゲの鬼太郎」の大泉洋。「間宮兄弟」の佐々木蔵之介 ら。


内田けんじの前作「運命じゃない人」は非常に優れた映画である。
プロットは緻密に構成され、伏線も丁寧に張られ回収されているし、適度に挿入される笑いは素直におもしろい感じることができる。しかもラストも明るい雰囲気があり、新人離れしたセンスのみなぎる作品であった。
新作の「アフタースクール」でも、そんな内田けんじの良さがいかんなく発揮されていた。

たとえば笑い。
ところどころで挿入される小さな笑いや小ネタもいいが、個人的にはラストシーンが非常にすばらしい、と思った。サイレントで見ると、しっとりとしたラブシーンに見える場面も、音声を挿入すると、それが途端に笑えるシーンになるからふしぎだ。このセンスはさすがである。

もちろんプロットの組み立ても優れている。
友人が浮気をしているかもしれないという表に見える話が、後半でくつがえっていく様はドキドキもの。特に大泉洋の部屋に堺雅人がいるあたりからの展開はストーリーに釘付けである。冒頭でなぜ人物の関係性をあいまいに描くのだろうと思っていたのが、そういう意味があったのかと驚かされて、わくわくすることができた。
妹の話など、さりげなく張り巡らされた伏線の使い方がともかくもうまい。
加えて友人に対する信頼を感じさせる展開も明るさがある。

エンタテイメントとして、本作の質の高さは申し分ないであろう。
適度な余韻もあって、何も考えずに楽しむことができる。満足の一品だ。

評価：★★★★★（満点は★★★★★）


制作者・出演者の関連作品感想：
・大泉洋出演作
　「ブレイブ ストーリー」
・佐々木蔵之介出演作
　「憑神」
　「椿三十郎」(2007)
　「虹の女神 Rainbow Song」
　「間宮兄弟」
・堺雅人出演作
　「ハチミツとクローバー」
・田畑智子出演作
　「花よりもなほ」
・常盤貴子出演作
　「ブレイブ ストーリー」
　「間宮兄弟」